回転する手品師

意味はない

MM

あけましておめでとう。

ということは、この記事は年明け最初に書き始めた記事だ。だからといって例えば三が日に書き始めたというわけでもなく、この記事が新年最初の記事なるとも限らない。

 

これからコインマジックの勉強を始めようと思っている人、マジックの経験も浅く練習の仕方もよく分からないそこの君。今日特別にコインマジックの習得の仕方を教えてあげよう。

 

まずコインマジックの動画を見なさい。動画サイトやマジックショップを漁ればサンプル動画が山ほど出てくるから、まずそれらを見まくるんだ。コインマジックへの夢と希望を胸に膨らませておこう。ただし注意点もある。解説を見てはいけない。世の中には違法アップロードされた解説動画やアマチュアの種明かし動画が溢れていて、誰でも容易にたどり着くことができる。けれど決して見てはいけない。ましてやコインを手に持って見るなど言語道断である。こんな最初からコインマジックの難しさに気付いてはいけない。魔法のようにコインを消すのが、明日にでも自分もできるのだと夢想しながら漁りなさい。

 

そうして数日もしたら居ても立っても居られなくなり、何か買いたくなる筈だ。そしたら本を買いなさい。DVDではない。本を買いなさい。初心者用のものを買いなさい。まかり間違っても、重厚な装丁に魅惑されてコインマジック事典を買ってはいけない。イキって世界のコインマジックを買ってはいけない

本であれば正解がよく分からないまま勉強できる。細かい指の動きも理想的なスピードも分からない。自分が下手であるという事実を映像で見せつけてくるような無慈悲なことがない。勘違いしたまま練習できる。これが大事。常に自分を天狗にする努力をしなさい。現実を見てはいけない。

ここで大切な事がある。ハーフダラーを買ってはいけない。周りの手品師も教則本も、軒並み買えと言ってくるだろう。無視しなさい。ハーフダラーは大きい。重たい。エッジが痛い。軽くて薄くて攻撃力のない日本円に慣れ親しんだ私達が、突然ハーフを使っても疲れるだけだ。コインをパームしたまま一日中生活してみろ、という練習は有名だが、初心者がハーフを一日中パームできるわけがない。10分が限界だ。関節がすぐに悲鳴をあげる。夢を見るな。大人しく10円玉を使え。コインマジックのアドバイスを事もあろうに本にして出版するなんてことができるのは変人だけだ。そして君はかなりの確率で凡人だ。変人の真似をするな。「どうせこれ10円玉だからなー、ハーフ使えばもっと上手いくやれるの分かってるしなー、持ってなくて残念だなー」とセルフハンディキャッピングして自信過剰になれ。いずれハーフを使うのに10円だと変な癖がつく?誰に言われた?安心しろ、そいつはコインそんなに上手くないぞ。

 

本を読破した頃になれば、君は人に見せたくなるだろう。さあここが運命の分かれ道だ。よーく考えるんだ。君は必死になって習得したそのなけなしのコインマジックを成功させられるか?成功したとしよう。観客からいままで聞いたことのない歓声をもらえるはずだ。なにせ目の前に確かにあったはずのコインが消えたり移動したりするのだから。君はその歓声を受け止めて気分が良くなるに違いない。さあ自己分析の時間だ。その時、君はどう考える?苦労が報われた、と考えるタイプなら問題ない。自分は下手だからこの歓声もお世辞に違いない、と考えるそこの君、マジックに向いてないから別の趣味探した方がいいよ。案外いけるもんだ、と楽観するタイプ、天狗になるな、現実を見ろ。

おっと話を戻そう。そもそも君は、間違いなくそのコインマジックを成功させられない。残念ながら。なぜな

 

 

飽きた